手術室内設備のあれこれ

ペリっ子なーすはじめの一歩

 手術室に初めて配属され、手術室内を見回すと、今まで見たこともないような設備が沢山あります。
配属当初、手術室内の設備についてにいろいろ説明を受ける思いますが、緊張も入り混じり理解したようで理解しきれていないこと沢山あると思います。

 そこで、今回は手術室内にある設備について徹底解説します。

影ができない無影灯

 手術室には術野を照らす目的で無影灯が必ずあります。
 字の如く「影が無い灯」ですが、実際見てみると若干の影はできますが、通常の灯りに比べたら明らかに影になり難いです。
 手術中は四方から術野を覗き込むため、無影灯の灯りは医師の頭で遮られますが、頭と頭の間をぬってなんとか術野を照らそうと頑張っています。

山田医療照明株式会社HP写真使用

 では、無影灯にはどんな種類があるのか?

ハロゲン無影灯

 名前の通り、ハロゲン電球を使用した無影灯です。特徴としては、自然光と同様の演色性が得られ、術野を最適な明るさで照らし、容易に高さを変えることできる特徴がありました。
 しかし、欠点としてハロゲン寿命が短い(1年くらい)、ハロゲン電球交換によるコストが高い、放熱することにより医師の頭が熱いなどがあります。その欠点を克服したのがLED無影灯です。

LED無影灯

 近年、多くの手術室で見かけることが増えてきたLED無影灯。導入コストが高く、二の足をふむ手術室も多いかと思いますが、寿命が長く、発熱量が少なく、また消費電力が少ない特徴があることから、現在の無影灯の主流になっています。
 LEDを使用しているため、約20,000時間の寿命(1日8時間使用しても7年の寿命)、消費電力も少なくランニングコストが安い、色調の切り替えが可能(医師の好みの色合いにできる)となっています。また、太陽光に近いスペクトルを持っているため、物本来の色や質を照らし出すことができます。

  ちなみに無影灯の明るさは約100,000ルクスあり、太陽と同じくらいの明るさとなっています。

異常に沢山あるコンセント

 手術室内では多くの医療機器を使用するため、非常に沢山のコンセントがあります。そのコンセントにも色々な種類があり、挿すところを間違えると医療事故にも繋がり兼ねないため、コンセントの種類を正しく理解しておく必要があります。

 病院内で使用するコンセントはJIS T 1022(病院電気設備の安全基準)に基づき設置されています。
 上記写真のように色分けされているのには理由があります。

白色は?
白色は?

 商用電源が供給されているため、停電になると電気の供給がストップしてしまう

赤色は?
赤色は?

 一般非常電源と言われ、商用電源が停止しても40秒以内に自家発電機等から電気が供給される仕組みになっているよ。ただ、40秒のタイムラグがあるので、バッテリーを搭載していないと一旦電源が切れるからね!

 同じく赤色の特別非常電源は10秒以内に電気が供給されるが、バッテリーを搭載していなければ電源が切れるから注意が必要

緑色は?
緑色は?

 無停電非常電源と言い、商用電源が停止しても無停電電源装置(UPS)から電力が供給される仕組みになっている。そのため、電源が切れる心配がない。

 それぞれの色のコンセントによって、停電時電力供給方法が違うため、どの機器をどの色のコンセントに挿すか考え、突然の停電時、機器の電源がシャットダウンしパニックにならないようにしなければいけない。

 大病院の手術室は無停電電源装置(UPS)を設置していることが多いため、基本「緑」のコンセントに挿しておけばよい。しかし、実際に停電になった時、無停電電源装置(UPS)から供給される電力量には限りがあるため、不必要な機器の電源はオフしたり、機器本体に搭載しているバッテリーで作動させる工夫が必要となります。
 また、無停電電源装置(UPS)がない場合、停電時にどう対応するか常日頃からシミュレーションしておく必要があります。

 停電はいつ起こるかわからないため、バッテリーを搭載している機器は常日頃充電しておくように心掛けましょう。

医療ガス設備

 手術室では人工呼吸に必要な酸素や空気、麻酔に使用する医療ガスなど多くの医療ガス配管設備が何箇所にも設置されています。

 供給される医療ガスと配管塗色は「酸素=緑色」「笑気=青色」「空気=黄色」「窒素=灰色」「二酸化炭素=橙色」「吸引=黒色」で、ボンベの塗色と異なるため注意が必要です。
 また、配管接続するアウトレットバルブも施設により種類が異なるため、自施設の形状を正しく理解しておきましょう。
 現在、日本で使用されているアウトレットバルブは以下の2種類に大別されます。

<ピン方式アウトレットバルブ>

<シュレーダー式アウトレットバルブ>

 両方とも誤接続防止の機能を兼ね備えているため、誤接続による事故は防げます。しかし、接続する際には細心の注意を払い接して欲しいです。

 アウトレットバルブに配管接続する際、必ず両手で配管を持ち接続して下さい。そして、接続したら抜けないことを確認後、手を離す。また、接続時、アウトレットバルブの正面に立たず、斜め横から必ず接続して下さい。
 ナゼかというと、配管接続した際、確実に装着されず医療ガス供給圧に耐えきれなくなった配管が、すごい勢いで外れます。そうすると、外れた配管が顔面にあたり、運が悪いと目に当たり失明する恐れがあるからです。実際にこういった事故が何件も起きています。
 ですので、配管に対する知識も大切ですが、接続操作に最新の注意を払い、自分の身の安全は自分で守る努力をして下さい。

今回は手術室の設備について解説してきました。最後までお読み頂きありがとうございました。

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